この記事の要点
- 右腕がAIを使うのは、調査・下書き・集計・確認といった「裏側の作業」です。お客様とのやり取りと最終確認は人が行います
- 総務省の情報通信白書では、日本の中小企業は生成AIの活用方針を「明確に定めていない」が約半数とされています
- AIで裏側が速くなると、ひとつの窓口でも、経営企画からバックオフィスまで広い範囲を扱えます
- 会社の情報は、学習に使われない設定、会社ごとの分離、共有前の確認の三つで守ります
「AIを使っています」という言葉は、いまや珍しくありません。大事なのは、何にAIを使い、何を人がやるかの線引きと、会社の情報がどこに行くのかです。この二つが曖昧なまま「AIで速くなります」と言われても、社長は安心して任せられません。
「AIを裏側で使う右腕」とは、社長の右腕・外部COO(COO代行・社外COOとも呼ばれます)が、調査・下書き・集計・確認といった作業にAIを使い、社長や取引先とのやり取りと最終確認は人が担う働き方のことです。AIは道具で、窓口はあくまで人です。
この記事では、中小企業の生成AI利用の現状を公的な調査で確かめ、AIに任せる作業と人がやることの線引き、ひとつの窓口で広い範囲を扱える理由、会社の情報の扱い、右腕がAIを使うときの手順、うまくいかないパターンまでを説明します。
中小企業の生成AI利用は、どこまで進んでいるか
結論から言うと、使い始めた会社は増えていますが、「どう使うか」の方針を決めている中小企業はまだ少数です。総務省の令和7年版 情報通信白書によると、日本で何らかの業務に生成AIを利用していると回答した割合は5割台半ばで、「メールや議事録、資料作成等の補助」に使っている割合は5割近くです。一方、企業規模別に見ると、中小企業では「方針を明確に定めていない」との回答が約半数を占める、とされています。
同じ白書は、生成AI導入の懸念事項として、日本では「効果的な活用方法がわからない」が最も多く、次いで「社内情報の漏えい等のセキュリティリスク」が挙げられている、と整理しています。
| 項目 | 白書の記述 | 出典 |
|---|---|---|
| 業務での生成AI利用 | 日本では5割台半ば。他国と比べると低い | 総務省 情報通信白書(令和7年版) |
| 中小企業の活用方針 | 「方針を明確に定めていない」が約半数 | 同上 |
| 導入の懸念 | 「効果的な活用方法がわからない」が最多、次いで情報漏えい | 同上 |
| DXの次の取組 | 段階3・4の約2割が「生成AIやIoTの活用」へ。問題点は費用と人材 | 中小企業庁 2025年版 中小企業白書 |
中小企業庁の2025年版中小企業白書 第1部第1章第5節でも、デジタル化が進んだ「段階4」「段階3」の約2割の事業者が「生成AIやIoTの活用」などに取り組もうとしている一方、DXを進めるうえでの問題点として「費用の負担が大きい」又は「DXを推進する人材が足りない」の回答割合が高い、とされています。IT化が担当の不在で止まる構造は「中小企業のIT化が進まない理由」で扱っています。
つまり、多くの中小企業で「使いたいが、使い方が分からず、人もいない」という状態です。右腕がAIを裏側で使う意味は、社長の会社にAIを導入することではなく、使い方が分かっている人が、社長の仕事を裏側で速くすることにあります。
AIに任せる作業と、人がやること
線引きは「作業か、判断と関係か」で決まります。
| AIに任せる作業 | 人がやること |
|---|---|
| 調査(制度、事例、選択肢の洗い出し) | 何を調べるかを決める、結果の妥当性を判断する |
| 下書き(資料、議事録、提案の骨子) | 会社の事情に合わせて直す、最終版を確認する |
| 集計(月次の数字、進み具合の一覧) | 数字の意味を読む、社長に上げる論点を選ぶ |
| 確認(抜け漏れ、表記の揺れ、期限の照合) | 相手に伝える、関係者を動かす |
AIが速いのは、量のある作業と、型のある作業です。逆に、社長の意図を汲むこと、取引先や社員との関係を築くこと、最終的な責任を持つことは人の仕事です。迷ったときは、次の早見表で振り分けます。
| 作業の性質 | AIに向く | 人が持つ |
|---|---|---|
| 正解が一つに決まるか | 決まる(照合、集計、形式の統一) | 決まらない(方針、優先順位) |
| 間違えたときの影響 | 人が確認すれば戻せる | 相手との関係に響く |
| 必要な情報 | 公開情報と、社長から預かった材料 | 社長の頭の中、相手の事情 |
| 相手がいるか | いない(下書き、整理) | いる(交渉、報告、依頼) |
ひとつの窓口で広い範囲を扱える理由
社長の右腕に求められる範囲は広く、以前なら領域ごとに担当者が必要でした。AIで裏側の作業が速くなると、ひとつの窓口でこの範囲を扱えます。どれも「調べて、書いて、まとめる」作業が中心で、AIが得意な領域だからです。
| 領域 | 裏側でAIが担う作業 | 表側で人が担う仕事 |
|---|---|---|
| 経営企画・会議運営 | 議事録の下書き、案件一覧の更新、論点の整理 | 会議を回す、社長に判断を上げる |
| 営業・提案・マーケティング | 提案書の骨子、競合や市場の調査、原稿の下書き | 相手に合わせて直す、提案する |
| バックオフィス・補助金 | 制度の調査、事業計画の整理、月次の集計 | 要件の確認、行政書士・社労士との連携 |
| 採用・IT・新規事業 | 求人票の下書き、ツールの比較、事業案の整理 | 面接、導入の判断材料づくり、関係者の調整 |
J-Net21 の経営ハンドブック「DXを進める」も、中小企業がDXを進めるには、適切な外部人材の活用や、経営者・DX担当者が多くの役割を果たすことが必要だと述べています。右腕は、この「外部人材」として、AIの使い方ごと持ち込む立場です。
会社の情報の扱い
AIを使うときに社長が最も気にするのは「うちの情報がどこに行くのか」です。公的な指針も出ています。個人情報保護委員会は2023年6月に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を公表し、生成AIサービスの普及を踏まえて注意喚起を行うこととしました。また、経済産業省と総務省は2024年4月に「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を取りまとめ、今後は必要な更新を継続して行っていく予定としています。個人情報や法律に関わる判断は、必要に応じて専門家と連携します。
Tech Bloom が守っている点は三つです。
| ルール | 具体的にすること | 社長が確認できること |
|---|---|---|
| 学習に使われない設定で使う | 入力した情報がAIの学習データに使われない設定・契約のサービスを選ぶ | どの設定・契約で使っているかを、契約前に聞く |
| 会社ごとに分けて管理する | 複数の会社を支援する場合、情報を混ぜない。ほかの支援先のために使わない | 秘密保持の条項と、情報の置き場の分け方を聞く |
| 共有する前に確認する | 社外と共有するときは、必ず事前に社長の確認を取る | 何を誰に渡したかの記録を求める |
これらは、AIに限らず、外部に実務を任せるときの基本でもあります。確認事項の一覧は「秘密保持と情報の扱い」にまとめています。
右腕がAIを使うときの手順
Tech Bloom が一つの作業でAIを使うときの順番は、次のとおりです。
- 目的と範囲を決める。何を作るか、どこまでAIに任せるかを先に決めます
- 入力してよい情報を決める。個人情報や、社長が外に出したくない情報は入れません。必要なら固有名詞を伏せます
- 下書きを作らせる。調査、骨子、集計、照合をAIで行います
- 人が直し、確認する。会社の事情に合わせて直し、事実を確かめ、最終版を人が決めます
- どこに何を出したかを記録する。あとから社長に説明できる状態にしておきます
うまくいかないパターン
- AIの出力をそのまま渡す。会社の事情に合っていない、事実が違う、という下書きがそのまま届きます。確認する人がいない使い方です
- 入力してよい情報を決めていない。個人情報や契約の条件まで入れてしまい、あとで説明できなくなります
- AIを使うこと自体が目的になる。速くなった分が、社長の時間ではなく、作業の量に化けます
- 人ごとに使い方がばらばら。白書がいう「方針を明確に定めていない」状態で、ある日突然、問題が起きます
- 相手に伝える仕事までAIに頼る。取引先への連絡や社員への依頼を機械的な文にすると、関係が薄くなります
- 料金が時間精算で、AIで速くなった分が見えない。速さの効果は、扱える範囲の広さとして返ってくるべきです。「月額固定の理由」で説明しています
AIで代えられないもの
AIが進んでも、右腕の価値は「社長に仕事が戻らない状態を作ること」にあります。それには、社長の頭の中を聞き出す力、決めたことを最後まで動かす粘り、関係者との信頼が要ります。AIはこの三つを速くする道具であって、代わりではありません。棚卸しで社長の頭の中を出す作業は「社長業務の棚卸し」に、右腕の役割の全体は「外部COO(COO代行)とは」に書いています。
外部の右腕にAIの使い方を確認するチェックリスト
右腕やコンサルタントに実務を頼む前に、次の点を聞いておくと安心です。
- どの作業にAIを使い、どの作業は使わないか
- 入力した情報が学習に使われない設定・契約か
- 会社ごとに情報を分けて管理しているか
- 個人情報や契約条件は入力しない、という基準があるか
- AIの出力を、人が直して確認してから渡しているか
- 何を誰に共有したかの記録があるか
- AIの間違いが見つかったとき、どう直すか
- 公的な指針(AI事業者ガイドラインなど)を把握しているか
Tech Bloom の現場では
Tech Bloom は、調査・下書き・集計・確認の多くにAIを使っています。だから、ひとつの窓口でも広い範囲を速く、正確に扱えます。入力した情報がAIの学習に使われない設定にし、情報は会社ごとに分けて管理し、ほかの支援先には使いません。お客様とのやり取りと最終確認は、必ず人が行います。
この進め方は、ホームページ制作のような案件でも同じです。設計、文章の下書き、確認の自動化はAIと仕組みで行い、方針の決定と公開は人が担います。サービスの範囲はサービスの案内、プランは料金、よく聞かれることはよくある質問にまとめています。
まとめ
- AIに任せるのは調査・下書き・集計・確認。やり取りと最終確認は人
- 情報通信白書では、中小企業は生成AIの活用方針を定めていないところが約半数。使い方が分かる人が裏側で使う意味はここにある
- 裏側が速くなることで、ひとつの窓口で9つの領域を扱える
- 情報は、学習に使われない設定、会社ごとの分離、共有前の確認の三つで守る
- AIは、聞き出す力・動かす粘り・信頼を速くする道具であって、代わりではない
よくある質問
AIに、うちの情報を入れるのですか
調査や下書き、集計など、裏側の作業で使います。入力した情報がAIの学習に使われない設定にしています。個人情報や外に出したくない情報は入れず、必要なら固有名詞を伏せます。やり取りと最終確認は、必ず人が行います。
AIが作った資料をそのまま渡されるのですか
いいえ。AIの出力は下書きで、会社の事情に合わせて人が直し、事実を確かめたものをお渡しします。
AIを使う分、料金は安くなりますか
料金は月額固定で、時間では精算しません。AIによって速くなった分は、扱える範囲の広さと速さとしてお返しします。プランは料金をご覧ください。
どのAIサービスを使っているのですか
面談の際にお答えします。選ぶ基準は、入力した情報が学習に使われない設定・契約であること、会社ごとに情報を分けて管理できることです。サービスは変わりうるため、基準のほうを確認していただくのが確実です。
AIが間違えたら、どうなりますか
AIの出力は必ず人が確認してからお渡しするため、間違いはその段階で直します。それでも見つかった場合は、すぐに直し、何をどう直したかを報告します。最終的な責任は、AIではなく Tech Bloom が持ちます。
参考・出典
- 令和7年版 情報通信白書「企業におけるAI利用の現状」(総務省。確認日 2026-09-25)
- 2025年版 中小企業白書 第1部第1章第5節 デジタル化・DX(中小企業庁。確認日 2026-09-25)
- 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について(個人情報保護委員会。確認日 2026-09-25)
- 「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を取りまとめました(経済産業省・総務省。確認日 2026-09-25)
- 経営ハンドブック「DXを進める」(中小企業基盤整備機構 J-Net21。確認日 2026-09-25)
まずは30分、状況を聞かせてください
AIをどう使っているかも含めて、その場でお答えします。お問い合わせからどうぞ。


